《落花篇》

(「将来の夢」を目指し、これからというときに、恋に落ちて一回休み。想い人は、旧知の仲であった二級下の美少年)

遺留品 : 砂井少年15歳の手記

初恋(仮題)抄

 彼を深く知れば、彼は夢ではなくなりそうなんです。それは彼が現実の人間だからです。
 ◆。
 だから僕は大好きな一瞬の為に、彼に対する知識に於いて、◆、劣等であるべきなのです。

 でも、こうも思います。
 ◆。
 僕はどうにかしてあの美しい結晶――一瞬の結晶―― の中へ、行くことはできないものか。

(成立日時:高校1年4月22日)◆=原文では彼を特定しうる語句にあたる

研究 :

 上の手記以前にも、彼の似姿をいくつか残している。そのうち一枚は中学3年秋頃のチラシ裏に描かれている。冬頃の『泰西少年愛読本』との出会いや《開花篇》遺留品群より、恋は少し先んじていたと考えられる。

 つまり、美少年を想うのはつらい。逃げたかった。そして、手遅れだった。

 恋のゆくえについては、ほぼ無関係であり続けた。失恋すら未遂に終わった様子である。二人で投げた小石が湖面を跳ねたときすら、少年たちの表情は凪いでいた。

少年作イラスト
初恋の美少年(成立時期:高校1年9月頃)

 少年は激しい恋心と同時に、激しい自己嫌悪を知ることになった。想い人に対する自らの至らなさ、特に、自らの至らなさを気にしすぎるという至らなさ。

 結果、現実的な改善につながって、所作振る舞いや美容にはプラスであった。遺された紙片等をみるに、こんな過程が高校1年冬頃まで続いた思われる。

(「初恋」は過ぎ去り、「将来の夢」だけが残った)

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