(少年愛の意味での少年として、ついにはインターネットやシティへと進出したが、みごとに要領を得なかった。参照:《電子化篇》「インターネットへの道」,散文「シティの記憶」。
最期に、ぼくに向かって謎めいたヴィジョンを示し、少年はバラバラに分解。すなわち、18歳の誕生日を迎えた。)
遺留品 : 18歳
大実験は続く。 おもむくまま、出すがまま、この地をどん底まで研究&発明するのだ。 爾(※なんじ)は博士だ。爾は青玉だ。爾は美少年で、爾は砂井少年だ(※原文では本名)。 (※中略) 厳粛なる貞操を死守しろ どろどろと果てしなくあれ。どろどろと永遠であれ。 どんな文章であらわしてもぼくにはぼくの気持ちが表現しきれない。 カケラばかりだ。だが、これは大いなる遺産。君こそは爾。 このカケラとガラクタから何かワカラン大実験による出現があろう。 しかし、わからないことをかくことはむづかしいことだね。 (成立時期:高校3年7月下旬〜8月下旬) |
8/16 (※中略) お前がぼくのあげつらねた、意図して核心をつかぬ文章の核心であることをぼくは希むのだ。 この駄文の中などにあてはまらず、このぼくをすくい、ひろいあげ、向うのこの世の果てに、つれさってしまうことを希むのだ。 (成立時期:高校3年8月16日以後数日内) |
研究 :
「博士」とは少年愛者のことである(参照:少年の恋人像「博士」)。
即ち、自身(=爾)は、少年愛者(=博士)だが、その目でみて、見どころある身(=青玉や美少年の類)だったそうだ。そんな恐れ多いことを宣言したので、原典ではその後延々と恥ずかしがって弁明しているが、ここでは略した。
「大実験は続く」「厳粛なる貞操を死守しろ」とあるが、「たたかいはこれからだ」「そのきもちをずっとわすれないでね」という類の送辞であろう。18歳は少年でないと直覚している(参照:「将来の夢」)。少年はその身が消滅し、その志操だけが宙に浮いてしまったのだった。
その後、どろどろがどうしたとか、何か出現するぞとか曖昧なことを言ったあと、8/16と記載された読書記録を挟み、再び延々と言い淀んだ文章の結語にて、お前≠ェ文意を読解することと、つれさらわれること(「夏休み計画表」の「闇/待」に相当)を希んでいる。
つまりどういうことか。
「少年愛者なぼくの目でみて、見どころある少年。その身は消滅していますが、その大志は宇宙に漂っているので、少年愛者な彼氏を募集中。大志が彼氏のもとにあれば、宇宙の歴史のどこかで、再び組み立てられた少年の身も、おっつけ彼氏のもとに出現するでしょう。」
何も超常的な話でない。こんなに素朴な少年が、宇宙全史において空前絶後な完全オリジナルであると言えるほどの、自信がないというだけのこと。
しかし、ひとまず少年は亡くなっているから自ら彼氏募集はできない。そこでぼくに対し「お前≠ヘ亡き砂井少年が少年愛者な彼氏を募集していたことを、知らしめよ」というのである。
(おしまい)
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